16、怪我人

くず

2011年01月23日 17:28

右足は地面につかないようにする生活が始まった。
今日から松葉杖が相棒となった。
いかにもケガ人という風になるので、周りが気を使ってくれると思ったが、甘かった。


バス停までテクテク、バスの中、電車ではオドオド、駅から彼女の家まではまたテクテク。

誰も席を譲ろうともしない。

世間は冷たいのだとこの時知った。


降りる駅までもう少しという所で、
「どうぞ!」と席を譲ってくれたが、

すでにムキになって立っていたので、「もう降りるので」と断った。

いつもの[バレンタインデー(1)参照]
おにぎり屋のおばちゃんは
「すぐ治るよ、若いから」と言って、また、おいなりさん2個くれた。


彼女はというと
「大丈夫?部活しばらくできないけど、その分ゆっくり休めば!」
と言っていた。

ついでに、「はしゃぐ事もできないね」
とも言っていた。

(んー、それは少しつまらん)と思った。

学校に行くと、みんながどーしたと聞く。

「クズケン足ケガしたの?」
誰かに会う度に。
応えるのが面倒くさい。


さすがに学校ではみんな優しくしてくれると期待していたが、それも甘かった。

<次話へ続く>


くまちゃんカフェ開業までの奮闘記。
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