職員室に入った。
ヒゲ、眼鏡、ハゲかかりオールバック。
担任のS井先生がいた。
「先生、足がヤバい!」
と俺は言った。
「ん、どーした?まぁ座れ」と椅子を持ってきてくれた。
そして、俺の足を見てくれるのかと思えば、呑気にコーヒーをすすっている。
(かわいい教え子が怪我してる時に、このハゲ!)
「先生、マジで痛いんすけど、」と言った。
すると、S井は
「顧問のK藤先生読んで来るから」と言ってどっか行った。
椅子に座りながら、そっと痛い右足を地面に着けてみた。
やはりすごく痛い。
「あーどーしよー」
すると、S井が顧問のK藤を呼んできた。
「クズケン、足見せてみろ」とK藤。
教師の中で、ただ一人俺をあだ名で呼ぶ。
「はい」
俺は足を見せた。
「んー、腫れてるなー」
確かに足首の下が腫れ上がって、ゴルフボールが入っているみたいになっていた。
「とにかく、これで冷やせ」と氷を入れた袋をくれた。
冷やし続けたら、2、3日で直んのかなと思ったが。
「病院だな。帰れるか?」
K藤は言った。
俺は思った!
(家までケンケン?学校から駅までケンケン、駅からバス停までケンケン、バス停から病院までケンケン、病院から家までケンケン?)
ハンパじゃねーぞ!
「もう帰っていいぞ」
さっき帰れるかって聞いといて、家まで送ってくれたりしないのか?
(いいよ、いいよ、薄情者達め、何が聖職者だ、笑わせるな!)
また、やるせない怒りが湧いてきた。
(一人で帰ってやる!)
とりあえず、着替えよう。
着替えも、大変だった。
足首を動かすだけで、激痛が走る。
ジャージで帰るか?いやジャージで電車に乗りたくねぇ。
ジャージ、ピンク色だし。
部活のジャージが何故ピンク色なのかは後で説明しよう。
頑張って着替えた。
よし、帰るぞ!
学校の中ではケンケンしていたが、正常な左足のふくらはぎがパンパンになってきた。
左足つったらもう終りだ。
痛くても右足を地面に着け、ビッコひきながら、痛みに耐え、歩いた。
本当に痛い。
初めてだろうか。
油汗というか、変な汗をかく。
何とか、駅まできた。
電車が来た。混んでる。
(クソッタレだ)
何とか乗り込み、ドアに寄り掛かって耐えた。
(俺の右足ちょっとでも踏んでみろ、フルパワーで頭突きするからな、生かしちゃおかねぇ)と思いながら電車を耐えた。
実際踏まれたら、もう何もできなくなるが。
電車を降り、階段、バスを何とかクリアし、病院まで、訳のわからない怒りで辿りついた。
診察室に入り、お医者さんに足を見せると、
足をアチコチ軽く叩かれて、「折れてはないようだね。」と言ったので、少し安心した。
「どうして、こうなったの?」って聞かれたので、俺は
「運動していて、ジャンプしてくじいた」と言った。
先生は「靭帯やっちゃっているねー」
「しばらく、走れないよ」と言われた。
「先生、俺陸上部なんですけど」とつい言ってしまった。
先生は苦笑いしながら、言った。
「ここまで来るのだって相当、足痛かったんじゃない?走れると思う?
痛いの我慢して走れたとしても、治りが遅くなるよ」と言った。
この足を見ると、さっきよりゴルフボールが大きくなっているようだ。
「どれくらいで治りますかね?」と聞いた。
「1ヶ月から2ヶ月かな」と先生は言った。
<次話へ続く>
くまちゃんカフェ開業までの奮闘記。
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