バレンタインデー(2)
おにぎりを食べ終わって、少し早いが待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所といっても彼女の家の前だが、
(あれ、もういる?)
「おはよう、今日も寒いね」
といつも通り。
「はい、コレ」
と彼女。
(バレンタインチョコキター)
「え、何?」
と気付いてないフリをした。
「今日、バレンタインでしょ」
彼女はそう言って、長方形の箱をくれた。
「家に帰ったら開けてね」と彼女は恥ずかしそうにしていた。
「うん!ありがとう!」
とかばんにしまった。
(中身は何かな〜?)
「クズケン、いつも飛んだり、はねたりしてるから、今日は静かにしてなよ。」
「なんで?」と俺は聞いた。
「箱が潰れるから」と彼女。
(中身割れ物?)
「そっか!」俺は少し考えた。
(俺がいつも飛んだり、跳ねたりするのは、まーちゃんとツルんでいるからだ。それに、奴にバレンタインもらったなんて言ってみろ、中身を食べられてしまう。これはヤバイ)
(なんとかしなければ)
気が付けば、もう学校の前だった。
「どうかした?」と彼女。
「いや、トイレ行きたくなったから先いくね」
「あとでね、コレ、ありがとう!」
俺は教室までダッシュした。
教室にはまだ誰も来ていなかった。
(今日はとにかく、かばん持っている時は静かに)
(いや、机ごと死守だ。たまに暴れて机倒す時もあるからな)
(みんなにはバレンタインは知らなかった事にしよう。)
(そうだ、そうしよう、名案だ)
少し安心した。
安心したら眠くなってきたので授業まで寝る事にした。
と10分も経たないうちにK田に起こされた。
「ケン○○ー、起きてよー」
K田はテンション高い時と甘える時は俺の事を本名の名前で呼び捨てにする。
ちなみに男。
「なんだよ、うるせーな!」
と俺は言った。
「今日はバレンタインだよー、ヘイ!」
K田はステップ踏んでいる。
「揺らすなよ、踊りたいなら廊下で踊れよ」と俺。
「キモチ悪いなぁ、何だよ」と聞いた。
すると、K田はチロルチョコ5つ手に持っている。
「チョコレートーモライマシタヨー」とK田。
「自分で買ったんだろ?インチキ外国人」
と突っ込んであげた。
「ノー、ノー、ノー、モラッタンデスヨー」
(まだ言うかデブ)
K田がしつこいので、俺は
「K田にチョコあげた人?」と大きな声で叫んだ。
みんなこっちを振り向いた。
K田は逃げて行った。
そしてまた寝た。