8、中学2年、憧れに巻き込まれる

くず

2011年01月15日 19:05

あっという間だった。

時間の過ぎるのは、早かった。
中学2年生。
そして、待っていたのは、第2次成長期ってやつだった。

まず、背が伸びた。
(15cmくらいは伸びたんじゃないか?!)
168cm。
スゴイ。

(どーだみたかヤブ医者め!)生い立ち編参照。

朝礼は一気に後ろの方。

「んー、眺め最高!」


(クラス替え、どんなクラスになったかなぁ?)

「2年3組?おー」
「いいんじゃないか?」
「A路は同じクラスじゃないし」

俺の心に春のそよ風が吹いたような気分だった。


「クズケン、3組一緒じゃん」と
陸上部が同じ、まーちゃんだった。

まーちゃんは足が早い。
去年の(中学1年の時)
地区大会の100m走で一位。
都大会では4位だった奴だ。
しかも怪力。

「あ、モンリもいるよ」

コイツも足が早い、地区大会の後に、陸上部に入った奴だが、まーちゃんと同じくらいで走る。

陸上部多いな。

そこへ金ちゃん。
「俺もいっしょ」
また陸上部。

毎日部活で会っているけど、一年間仲良くしようや。

と、担任は転任で来た奴だ。S井先生。

「おい、アイツだよ。なんかギルガメに出て来る、エロい監督いるじゃん、アイツに似てねぇか?」
と、ひーちゃん。

ギルガメとは、当時テレビ東京でやっていた深夜番組で、正式名はギルガメッシュナイトだった。

中学生には刺激が強い内容。

眼鏡に口ヒゲ、頭はハゲかかりオールバック。

「S井かぁ」
「まぁいいや」
とまぁこんな感じでスタートしました。

オシャレにも気を使いだした。
この頃から、ジェル、ムース、整髪料を使い始めた。

女の子に少しでもモテたかったのだ。
付け加えて言うと、うちのクラスの女子は、先輩方を気にいっていた。

「○○先輩カッコいい!」てな感じに。

一番の屈辱は、ラブレターらしき手紙をクラスの女子から先輩に渡すようにと頼まれた事だった。

「陸上部のH本先輩に渡してほしいんだけど?
クズケンよく喋ってるから、すぐ渡せるでしょ、お願い。」と。

確かによく話しはしている、カッコイイのもわかるんだけど、、。

(いつもコイツらどっから見てるんだ?暇人かぁ?怖い、女の執念)

「彼女いるよ」と俺は、普通に言ってしまった。

「え、そうなの誰、誰?」と女子。

(あー、めんどくせー)

「とにかく、渡せばいいんでしょ」と言って部活に行こうとした。

「絶対渡してね」と念を押された。

(渡すだけだ、後は知らんぷり)

H本先輩がいた。「押忍」と声をかけた。

「あのー、H本さん、これ俺のクラスの女子が、。」と預かった手紙を差し出した。

「なんだコレ?」って言われた。

(いや、見ればわかるでしょ、手紙、手紙だよ)

とりあえず、もらってくれたが、ふと、自分の中でやるせないキモチが込み上げてきた。

「H本さん、モテますね。」つい言ってしまった。

思い切り腹を蹴られた。

更に、「いいなー」って。
「うるせえ」
また蹴られた。

もう一丁、「H本さんの事、うちの女子みーんなカッコイイって言ってますよ。」
「モテる男は辛いっすねー」
俺の渾身のひやかし。

蹴りを何発喰らったか。

次の日の朝、教室入るや、昨日の女子たち。

「クズケン、昨日の手紙渡してくれた?」

「渡したけど」と俺。

「あー、良かったー」
「やったね?A子!」
と女子たち。
「A子?」あの手紙はA子からの手紙だったのか?!

俺はA子の事をかわいいなーと思っていた。

「クズケン優しいね!」

(は?!なんだその優しさってのは?)

(そうだ、俺は悪になるぞ)と心に決めたが。

「今度、またお願いしてもいい?」と女子。

「いいよ!」と俺。

反射的に言ってしまった。
(俺は悪になるんじゃなかったのかよ。)

H本先輩に「今度こういう事やったらぶっ飛ばす。」って言われたのを思い出した。

いや、悪だ。俺は悪になるんだ。

(そうだ、モテる奴が悪い。)

問題がくい違って来たような気がしたが、もうなんでもいい気がしてきた。


それからというもの、H本先輩が卒業するまでに、何回蹴られたことか。